全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>に「ベル」として参加した女子高生の「すず」は、歌姫となり世界中の人気者になっていった。ベルの大規模コンサートの日に、突如「竜」と呼ばれる謎の存在が乱入する。竜が抱える大きな傷の秘密を知りたいと近づくベルと、一方で<U>の秩序を乱すものとして世界中から竜を排除しよう動きが加速する―。
「あ、ありのまま 今起こったことを話すぜ! 細田守監督映画の新作を見に行ったんだが、『サマーウォーズの次回作かな?と思いきや美女と野獣の展開に突入、しかし美女と野獣ENDではなくJK青春ENDだった』」
今回はディズニーのジン・キム氏がベルのキャラクターデザインを、建築家のエリック・ウォン氏が<U>の世界のデザインを担当するなど、様々なクリエイターが集まっているようです。
細田守監督はインターネット世界にこだわりがあり、インターネットの良い面・悪い面を表現したいようですが、ここでの感想は、ネットに関する内容については先行記事(※)にお任せすることにして、割愛します!
※リンクは最後にあります
竜とそばかすの姫ネタバレと感想
そばかすの姫の誕生
主人公「すず」は高知県の自然豊かな山奥の田舎に住む17歳の女子高校生。父と二人暮らし。すずが幼い頃に母は、嵐の中の河川で助けを呼ぶ子供を見て、自ら川に飛び込むが流され亡くなってしまう。母と一緒に歌うことが何よりも大好きだったすずは、その死をきっかけに歌うことができなくなり、塞ぎこんでしまう。父はすずのことを気に掛けるが、すずは父といっしょにご飯を食べず、ほとんど会話しようとしない。
「母さんはなぜ私を置いて川に入ったのか?」「なぜ私と生きるより名前も知らない子を助けることを選んだのか?」
学校では、美人で誰にでも隔てないクラスのマドンナ的存在である「ルカちゃん」との対比と、幼馴染の「しのぶくん」はスポーツが出来てイケメンに成長して女子からモテモテになったが自分では釣り合わないと思っているシーンがあります。心に闇を抱えた、スポットライトの当たらない少女像を映します。
ある日、親友のヒロちゃんに誘われ、全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>に参加することに。<U>では、「As(アズ)」と呼ばれる自分の分身を作り、まったく別の人生を生きることができる。登録時に耳に装着するデバイスから生体情報を読み取ることで、その人の内なる情報がAsに反映されるという。
現実世界では歌えなかったすずが、「ベル」と名付けたAsでは自然と歌うことができた。ヒロちゃんの天才的プロデュースにより、ベルの歌は瞬く間に話題となり、歌姫として世界中の人気者になっていく。
ヒロちゃんは毒舌、ITスキル、ビジネススキル、半端ない行動力を持つ、超濃ゆいキャラです。
竜との出会い
ある日、ベルの大規模コンサート中に、突如「竜」と呼ばれる謎の存在が乱入する。<U>の中で活動する警察的な存在に追われているようだ。
竜は狂暴な存在で、攻撃されるとデータが破壊され行動不能になるらしい?警察的な存在らの追っ手を撒き、去っていく竜。コンサートは中断となり、観客らは竜に対して怒りを向ける。ヒロちゃんもせっかくのコンサートを台無しにされたことで激怒し竜の正体を暴いてやる、と意気込む。竜の背中にある傷から、体または心に傷がある人物ではないか、と候補を絞り調査を進めるが、特定までは至らない。
ヒロちゃんの情報により、竜が居るという城の情報からすずは城を探し歩く。すると、人工知能で動くマスコット?がベルを城まで導く。その人口知能は、竜のそばにいる存在のようだ。
ベルを見つけた竜は、「なぜここにいる?早く出ていけ!!」と怒鳴る。最初は竜はやはり怖い存在だと思うも、ほっといてくれという態度や背中に持つ傷が気になってしまい、竜の元を度々訪ねるようになる。竜に近づきすぎて<U>の警察的な存在に目をつけられるベルだが、竜に助けられたり、竜のために歌うことで、距離は縮まっていく。
大きく心を揺さぶられるすずの心
幼馴染みのしのぶくんからは、塞ぎこんだ態度を心配してすずに話しかけるも「何でもないから」と振り払おうとする。一方で、クラスの人気者のルカちゃんとしのぶくんが話をしている姿を見て、絶望してしまう。今もしのぶくんのことを好きな自分がいる。
そんな時に、ルカちゃんからSNSで恋の相談をされる。おそらくしのぶくんに告白するのだろうと、自暴自棄になるも、ルカちゃんの相談を受ける。話を聞いてみると、実は好きな人はしのぶくんではなく、カヌー部のちょっとクラスから浮いた熱血漢であるという。
ルカちゃんとの帰りに最寄り駅で、熱血漢とばったり会う。すずは熱血漢と(お互い浮いている者同士?)フランクに話せる間柄であることから、ルカちゃんと熱血漢を応援し、無事カップル成立?となる。
その状況を受けてか、偶然同じ駅で出会ったしのぶくんに今まで伝えられなかったことを話そうとする。そのとき、しのぶくんから「俺も言いたいことがある。ベルはおまえだろ?」と正体がバレていることを伝えられる―。突然の話にパニックになりその場から逃げる。間もなくしてヒロちゃんから竜の城が警察的な存在に攻撃されていることを知らされる。
竜の正体とすずの決意
警察的な存在には、Asの姿を解いて現実世界の姿を露わにする力があるという(ネット社会の本人の晒上げ的な)。城が攻撃されているということは、竜の本人特定がされる時が近い。
すずを心配して、ベルの正体を知る近所のオバチャンやしのぶくん、ルカちゃんカップル集結。
ヒロちゃんの力を借りて、50億人のアカウントから竜を特定しようとする。すると偶然、ベルが竜にしか披露していない歌を手がかりに、竜の正体と思われる人のアカウントを見つける。父子家庭の兄弟と思われ、DVを受けているようだ。父の暴力から弟を守る、耐える心が、Asに反映されて竜となったようだ。「私ベルだよ、助けに行くから住所を教えて!」と伝えるも、誰かもわからない人から偽善を言われても信用できない、と激怒され切断されてしまう。
そこでしのぶくん、すずとして歌って信用してもらうしかない、と言う。
すず、葛藤の末、自らAsを解き本人として歌を歌い始める!!
ふと、母親が見知らぬ子供を助けに川に飛びこんだように、自身も見知らぬ子供(といっても3歳差くらい)を助けようとしていることに気づく。
すずの思いが伝搬し、観衆も一体となっていく―。
ミュージカル的な演出で、今作の一番の見どころです。
DVを受けている兄弟は本物のベルだと信じ、住所を伝えようとするもDV父の登場によりまたも切断される。このままでは兄弟の身が危ない!と、カメラに映っていた部屋の情報だけでみんなの推理による怒涛の超展開で兄弟の住む街のおおよその住所を特定。
「夕方のチャイムが2種類聞こえたから街の境かも?」「窓から見える2つの建物に見覚えがある」「おそらく多摩川周辺だ!」君たちはコナンくんの一味かな?
そして皆の応援を受け、単身、高知県から関東の多摩川周辺へ乗り込むすず。風景だけを頼りに雨の中、偶然一時的に家を飛び出した兄弟と出会えた。DV父が追いかけてくるも、すずが身を呈して兄弟を守り、DV父は一時退却する。
ベル(すず)と出会えたことで、勇気をもらい前に進もうと決心する兄弟。
すずも、出会いか、自分が変われたきっかけをくれたことにか、お礼を言う。
エンディング
地元高知にもどり、父、近所のオバチャンやしのぶくんらに迎えられるすず。
父からの夕飯の誘いに応える。
しのぶくんと距離が縮まる。
オバチャンにお願いされ、人前で歌う。
<U>を通じて、すずは大きく成長し、前に進み始めたのでした。
最後に
・真のヒロインはルカちゃん
途中、しのぶくんのことでクラスメイトが繋がるSNSが炎上する事件がありました。ヒロちゃんは「ルカちゃんが炎上させた犯人だったりして」と勘ぐるので、もしやルカちゃん悪役では…と思いましたが、実際はめっちゃいい子。思いを寄せる熱血漢を前にガチガチに緊張し、普段の姿から見る影もありません。爆発しろ。
・設定、キャラクター、演出が良かったので惜しい
終盤は怒涛の展開にびっくりしたこと、竜について描き切れなかったことや結末がいまひとつだったので、制作期間の都合なのか…もう少し足りず、惜しく感じました。
竜の正体がもっと身近な人だったら「まさかこの人がこんな闇を抱えていた?!」と盛り上がるかもしれないですが、すずが疑問を抱いていた母親の行動と同じことを自分もしていた…というシーンを描くならば、赤の他人がいいのは確かです。とはいえ、どうまとめればキレイに収まるか、難しいですね。代案は名脚本家に任せます。
とはいえ、仮想世界の表現、終盤のすずが歌うシーンの演出は、自身も作品の中にいるような感覚で引き込まれました。今年話題作の演出(と、一方で惜しいと感じてしまう箇所について)、ぜひ劇場で確認しよう!
おしまい
おまけ
ライターによって、映画紹介記事はこんなにで変わる!
管理人の書いた【竜とそばかすの姫】記事はこちらから!!
・・・友人様のほうが、俄然クオリティが高い件(笑)
コメント
これ高知が関係しているという事で気になってはいます。
観に行こうかな~?迷いますね。
観に行かなかったら、ここで全部読んで満足とします。