地球連邦軍の上層部より命じられ、ホワイトベースは、残置諜者(情報収集や敵のかく乱を行う者)の掃討を目的としてある島へと向かう。そこでは元ジオン兵と戦災孤児達が生活していた―。元ジオン兵の目的と、アムロ達の運命は?!
機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島 ぷちネタバレ・レビュー
機動戦士ガンダムとは
ファーストガンダム
みなさんご存じの近未来SFロボットアニメ。シリーズ化され、多くの作品が存在しますが、本作は最初のガンダム作品であることから”ファーストガンダム”とも呼ばれます。単なるロボットアニメだけではなく、リアリティある設定やストーリーを始め、戦史モノ、ヒューマンドラマなど様々な観点からも支持を得ています。
ファーストガンダムの作品設定
人類が宇宙に進出し、西暦から宇宙世紀(U.C.)に変わった時代。宇宙移民者はコロニーと呼ばれる筒状の施設で生活するようになった。これは人類の人口爆発の解決策として行われたが、地球連邦によってほぼ強制されたようなものだった。地球とコロニー群の関係は、地球連邦が宇宙移民者を支配するという構図となった。これを良しとしないコロニーの一部がジオン公国を名乗り独立を宣言し、地球連邦に宣戦布告する。時はU.C.0079、後に”一年戦争”と呼ばれる、総人口の半数が死亡した壮絶な戦争となった。
戦争初期はジオン公国がモビルスーツと呼ばれる巨大人型兵器を投入することで、地球連邦軍が劣勢となった。しかし、地球連邦軍もモビルスーツを開発。これにより戦局は大きく変わっていくー。
ククルス・ドアンの島ぷちネタバレ/感想
本編のざっくりネタバレストーリー
ブライト艦長より命じられ、島の調査に向かう主人公”アムロ”とその他クルー。島に上陸すると、調査をしていたガンダムはザクと戦闘になる。足場が崩れガンダムは落下し、その衝撃からアムロは気を失ってしまう。気が付くと、ザクのパイロットでありジオンの脱走兵”ドアン”(本作のもう1人の主人公)と戦災孤児らに介抱されていた。はじめのうちは子供たちから良く思われていなかったが、次第に打ち解けていく。
一方で、島にはジオン軍の重要な軍事施設が存在していた。これを調査しに、ドアンと同部隊だったジオン兵が島に上陸する。このジオン兵を、アムロとドアンの共闘により退けることに成功する。こうしてドアンと子供たちの島には平和が訪れ、アムロはホワイトベースに戻り次の戦場へ向かうのだった。
原作TV版15話の本案
本作は冒頭で「TV版第15話の本案(※)である」と説明があります。
※本案:既存の作品を原案・原作として、新たに別の作品をつくる行為を指す。(wikipediaより引用)
TV版は島での生活シーンはほとんど昭和感漂うおパンツ姿なので、さすがに現代では使えないでしょう。
また、設定やキャラクターデザインは、”機動戦士ガンダム THE ORIGIN”になっています。これはガンダムエースで連載された漫画作品で、一年戦争に至るまでの経緯などの一部がアニメ化されています。
TV版は30分枠である一方、本作の上映時間は109分あります。結末は同じであるものの、全く別物に仕上がっています。
TV版との大きな違い
- ガンダムの主役感
原作は、ドアンザクが主役感を出していましたが、今回はガンダムが圧倒的主役感を放っていました。特に絶望感漂う状況で、後から現れるガンダムのヒーロー感…!まあ主役ですからね。
- ドアンが所属していたジオンの部隊”サザンクロス隊”
ドアンの設定が深堀され、元々所属していた部隊のキャラクターの詳細が描かれるようになりました。島を襲うサザンクロス隊と元隊員のドアンとのバトルは、過去にけじめをつける戦いとなります。
- ドアンが島にいた理由
子供たちをかくまうにしては離島であり不便な環境。ではなぜそんな島にドアンがいたのかというと、そこにはジオン軍のある軍事施設があり、戦争の悲劇を広げないようその施設を無力化するためでした。
みどころ
- 迫力のモビルスーツ戦
CGで描かれる戦闘は圧巻です。ちょっとやりすぎなくらい人間に近い動きをします。
- ザクのオマージュ
当時の15話は、アニメ制作のタイトなスケジュールからか、昔も今も変わらない作画崩壊事故(?)があったようでした。その当時の鼻が長くスリムなザクの意匠を残し、本作の設定として活かしたようです。
参考: 『機動戦士ガンダム』“ドアンザク作画崩壊”について安彦監督が明かす「見るに堪えなかった」 RX-78-02ガンダムに古谷徹が大興奮 『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』ザクの日スペシャル会見
- 戦争の中で生まれるヒューマンドラマ
ガンダム作品は戦闘の話であるため、敵も味方も死亡する悲劇的なシーンが多いです。その中でもこの作品は特殊で、戦いを放棄し脱走した元ジオン兵、元ジオン兵と戦災孤児の絆、仲間を助けることを優先するために軍上層部からの命令に対し機器トラブルをでっちあげる艦長など、人間味あふれるシーンが本作の魅力です。
ただ、やはり戦争モノなので、明確な描写こそ無いもののジオン兵をやむを得ずモビルスーツで踏みつぶすシーンもあったりします…。
- 主題歌は森口博子氏
54歳になった今でも現役のガンダムソングシンガーとして、本作のためのエンディングテーマを担当しています。ドアンと子供たちのエピローグの絵にあわせて流れる曲は相性がよく、見終わったあとの余韻に浸ることができます。
おまけ
- シャアの特別出演
原作にはシャアが登場する場面はありませんでしたが、公開前にシャアが特別出演する情報がありました。どのように無理やり登場させられるのかと思いきや…落下の衝撃で気を失ったアムロの夢の中でした。
- 2022年のガンダム事情
映像作品としては8月に”ガンダム Gのレコンギスタ”の劇場版 第5部 完結編が公開予定です。また、10月には新作の”機動戦士ガンダム 水星の魔女”がTVで放映予定です。どちらも本作に直接のつながりはありませんが、ガンダムの世界を広げ、まだまだ勢いをつけてくれるものになると思います。
毎年何かしら新作が発表されるため、ガンダムを知ると継続して新しい楽しみが増えていきます。
また、4月にららぽーと福岡にν(ニュー)ガンダム:アムロが最後に乗った機体の立像が公開されました。
本作をガンダムの世界に入るきっかけにできると思います。是非ガンダムの世界を楽しもう!!
おしまい
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