わが子に先立たれた喪失感と後悔の念を抱え、
息子が生きた証を探し求める父がその先に見つけたものとは―――
日中国交正常化50周年に日中合作で描かれる、心の再生の物語【安魂】をネタバレレビュー!
ネタバレレビュー感想:安魂
―――2022年7月29日、岩波ホールが閉館する―――
そんなニュースをきいた私は、神保町にある岩波ホールへ行ってきました。
全国にある映画館を紹介する記事を書くのが趣味の身としては、以前から一度は行ってみたかったのです。
そんな背景だったので、何が上映されているか前情報無しで行きました。
上映されていたのは、岩波ホールに足を運んだ1月15日から上映開始となった日中合作【安魂】。
映画の主人公は社会的名誉も地位も手に入れた著名な作家の唐大道というおじさん(以降おじさんと表記)。
おじさんは奥さんと息子の3人暮らし。
ある日息子は恋人を両親に紹介し、結婚をしたいと告げるのですが・・・
おじさんに反対されてしまいます。
私『この映画はうまくいかないパターンの「のび太の結婚前夜」なのかな?』
と思いきや・・・
息子はおじさんに結婚を認めてもらえることなく、突如発症した脳腫瘍のためにこの世を去ります。。
息子「父さんは僕が嫌い?」
息子「父さんが好きなのは、自分の心の中の僕なんだ」
死に際の息子の言葉が呪いのようにおじさんを縛り続けます。
息子の死から立ち直れない父親の前に現われたのは・・・
死んだ息子そっくりの青年、劉力宏。
この青年・・家族ぐるみのスピリチュアル系詐欺師。
青年が息子の霊を憑依する能力を持っていると信じて、おじさんはお金をつぎ込んでしまいます。
奥さんや、息子の恋人の忠告も耳に入ることなく、青年の存在にのめり込んでいくおじさん。
息子の死に区切りをつけることができた奥さんや息子の恋人と違い、父親だけが息子の亡霊にを追い続ける様がなんとももの悲しい。。
おじさんの運命の行方は・・・
おじさんとの交流を重ねていく青年。
クライマックスで、青年はおじさんをだましていることに良心の呵責をかんじて自首をします。
青年は早くに両親をなくし、詐欺の手伝いをさせられていました。
青年にとってのおじさんは、文字通り自分を息子として扱ってくれる父親のような存在だったのかもしれません。
心を通い合わせるおじさんと青年。
おじさんは「また来て欲しい」と青年に自宅の鍵を渡します。
出所したら祖父母のいる田舎にいってみると言いつつも、青年は鍵を受け取ります。
おじさんのもとから去って行く青年。
ラストシーン、楽しそうに過ごしているおじさんは奥さんと息子の恋人、そして孫の姿が。
魂の安寧をえたおじさん。
青年とふたたび会うことがなくとも前を向いて生きていけそうです。
青年とおじさんとの胸熱くなるやりとりを是非映画館で!
おしまい
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